「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」は推理小説である。(感想・考察・謎解き)  (ネタバレあり)

「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」(村上春樹)の謎解き。事件の真相・犯人を推理し、特定します。

余談 その12 この小説の「現在」は、何日から始まるのか?

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*激しくネタバレしています。ご注意願います。(また、本編の推理を前提としていますので、このblogの本編をご覧になられていないとわかりにくいかもしれません。) 

 

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 今回は予定を変えて、「この小説の『現在』は、いつから始まるのか?」を検討します。恵比寿のバーでの多崎つくると沙羅の会話から、この小説の「現在」の話は始まります。この恵比寿のバーの会話はいつなのでしょうか?

 このblogでは「余談 その4 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』はいつの年の話?」で示したように、「現在」は2012年説をとっています。2012年で考えてみます。

 

 

 恵比寿のバーで会話した日の日後、多崎つくるは沙羅にメールをします。沙羅は2日後日本に戻るので、その翌日土曜日に会えると言っています。だから、恵比寿のバーの日は逆算すると8日前になるので金曜日になります。(その5日後、銀座でつくるは沙羅から4人の情報を聞きます。)

 2012年で5月の金曜日は、4、11、18、25日ですが、18、25日は除外です。5月の終わりに多崎つくるはアオとアカの巡礼に行くのに、18日、25日ではスケジュール的に6月になってしまいます。(恵比寿のバーの日から、銀座で4人の情報を聞くまで13日かかっています。)

 

 残る日は、4日か11日ですが、私は5月11日だと思います。

 5月11日は、シロ(白根柚木)が殺された日(5月12日)の前日です。シロの命日の前日であるこの日に、何か思い出すことがないかと多崎つくるに沙羅は聞いてみたかったことでしょう。ところが、つくるは思い出すどころか、事件の真相も、シロが殺されたことすら知りません。しかも真相を知ろうとすらしないのです。沙羅にとっては、つくるのこの態度はけっこうきつかったでしょう。「そういう気持ちになれない」のは当たり前です。

 翌日の5月12日、おそらく沙羅は名古屋に戻ります。柚木の7回忌と墓参があります。

 

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