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「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」は推理小説である。(感想・考察・謎解き)  (ネタバレあり)

「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」(村上春樹)の謎解き。事件の真相・犯人を推理し、特定します。

「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」は推理小説である。⑧

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*激しくネタバレしています。ご注意願います。

 

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15.シロを殺した犯人は誰か?

16.なぜ、犯人はシロを殺したのか?

 

15.シロを殺した犯人は誰か?

 第1にシロをレイプした犯人とシロを殺した犯人は同一人物だと思われます。これは残念ながら確定した証拠はありません。しかし、現実世界はともかくとして狭い小説世界に「根源的な悪」を行う人間がそうそう何人もいてはたまりません。犯人は同一人物であると考えるのが自然でしょう。

 第2にシロが殺された状況を考えてみましょう。「部屋はオートロックになっていた。ドアにはチェーンがついていた。①彼女が内側から鍵を開けたのか、②それともその犯人が合鍵を持っていたのか、それも不明だ。」ドアにチェーンがついていたというのは単純な間違いか、外側からでも掛けられる型か、ただ単についているだけ(かかってはいない。)だったのかどちらかでしょう。でないと完全密室ってことになってしまいますし、母親が3日後中に入れません。いずれにしても鍵がかかっているので、①か②でないと犯人は部屋に入れないという意味でしょう。

①彼女が内側から鍵を開ける可能性はないでしょう(家族は別ですが)。彼女が招き入れるような親しい友人は(メンバー以外には)いません。クロはフィンランドにいるし、レイプの記憶のあるシロがメンバーであっても男性を部屋に招きいれることは絶対にありえません(アカ、アオ、もちろんつくるではない)。とすると、②犯人は合鍵で入ったのです。もちろん、合鍵を渡すような友人もいません。とすれば、家族しかいません。(シロが殺された後、オートロックなので部屋には鍵がかかっていた訳ですから、3日後母親は合鍵で鍵を開けて中に入り殺された彼女を発見したのです。だから、家族は合鍵を持っています。)家族は、父親、母親、姉の3人です。このうち、彼女をレイプして妊娠させることができるのは父親だけです。だから父親が犯人です。

第3になぜ、シロはレイプされて妊娠した子どもを生むと言い張ったのでしょうか。いろいろクロが説明していますが、なにか唐突な感じがします。これは、堕胎というシロにとっては罪深い行為もやっている産婦人科医である父親への反発であるだけでなく、真犯人である父親への復讐の意味もあるかと思います。

第4になぜ、シロはつくるに犯されたことにしたかったのでしょうか。これは真犯人が到底本人の頭の中で受け入れられる人間ではなく、なおかつ逆らうと自分の世界が崩壊してしまうため逆らえるような人間ではなかったからです。

他のメンバーに犯されたのなら、事実を言っているでしょう。あるいは見知らぬ他人にレイプされても事実を言っているでしょう。いずれも事実を捻じ曲げて、しかもその捻じ曲げたことを自分で信じなくてはいけない必要のある人物ではないのです。それは父親しか考えられません。

第5に、守護者であるクロがフィンランドへ行った後、シロは名古屋を逃げ出します。なぜ、仕事も見つかりやすく、とても名古屋を離れて生きていけるようにみえないシロが名古屋から逃げ出す理由があったのでしょうか。それは犯人が名古屋にいるからです。シロは犯人が名古屋にいるから逃げ出したのです。

 

16.なぜ、犯人はシロを殺したのか?

自分から逃げ出したシロに罰を与えるためです。

 

(お読みいただきありがとうございます。もし、よろしければ感想などありましたら、コメント欄にコメントしていただけると嬉しいです。)