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「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」は推理小説である。(感想・考察・謎解き)  (ネタバレあり)

「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」(村上春樹)の謎解き。事件の真相・犯人を推理し、特定します。

「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」は推理小説である。⑤

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*激しくネタバレしています。ご注意願います。

 

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8.灰田①・・・緑川の話とは?

 

8.灰田①・・・緑川の話とは?

 灰田のエピソードでとりわけ印象に残るのは緑川の話です。ここでの「トークン」の話や「知覚の扉」も興味深いですが、(聞いているといわゆる「悟りの境地」の話に近いなと思います。)ここで大事なのは「跳躍するかしないか」の話と、「お守り」の話です。「お守り」は、多崎つくるによって「多指症の指」ではないかと推理が出されます。他に手がかりもない以上、そうであると仮定するしかありません。では、多枝症の指は何を暗示するのかということです。これは「マイノリティ」であることを示しているのでしょう。実際にはほとんどの人間は小さいときに手術して5本指にするため、外見は変わらないのですが、「マイノリティ」の象徴として「多指症の指」はあります。緑川がある種の色が見えるというのはこの多指症の人間を見分けることができるという意味でしょう。緑川も灰田父も灰田息子もおそらく多指症です。(多指症は遺伝します。)

多指症はマイノリティの象徴なのですが、灰田息子にとっては多指症の問題はどうでもいい話で、彼にとっては、もう1つの実際的なマイノリティであるところの、自分がホモセクシュアルであるということが重要な問題な訳です。

なぜ、灰田が緑川の話をしたのか?これは多崎つくるにマイノリティの側(ホモセクシュアルの側)へ跳躍してほしいという彼の願いを告白したのです。しかし、この話は多崎つくるには理解されませんでした。まあ鈍感なつくる君でなくても、わかりにくい話ですが、わかる人にはわかる、跳躍できる人には跳躍できる話だったのでしょう。だから、多崎が話を理解できないのを見て密かに失望したでしょう。その夜、灰田は実際的な行動にでることになります。

 

灰田②・・・なぜ彼は去ったのか?に続きます。)

 

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